
以前、ある会社から、LINE WORKSで使う翻訳Botについて相談を受けました。
海外のパートナーとのやり取りをLINE WORKSで行っていて、届いた英文を読むたびにChatGPTへ貼り付けているそうです。返事を書くときは、日本語で考えた文章を英語に直して、またLINE WORKSへ戻ります。
ご相談は、普段使っているトークルームに翻訳Botを入れて、この行き来を減らせないかという内容でした。
相談では、困っている場面を聞き、LINE WORKSの標準機能とBotの制約を調べ、Botに何を返させるかまで提案しました。
最初に見たのは、LINE WORKSの標準機能と、Botを入れたいトークルームの条件です。
LINE WORKSの標準翻訳・自動通訳だけで済む場面
相談を受けてから調べると、LINE WORKSには一つのメッセージを翻訳する機能と、トークルーム内に訳文を表示する自動通訳がありました。公式ヘルプでは、どちらもすべてのプランで使えると案内されています。
英文を日本語で読めればよいなら、標準機能で足ります。
正直に言えば、相談を受ける側としては、Botを作る話になったほうが仕事にはなります。けれど、お客様が困っているのはBotがないことではなく、英文を読むたび、返事を書くたびに生まれるLINE WORKSとChatGPTの行き来です。
今ある機能でその手間が減るなら、新しく作る理由はありません。
外部ユーザーがいるトークルームではBotを使えない
次に調べたのが、海外のパートナーがLINE WORKS上でどのようなユーザーとして参加しているかです。
LINE WORKSの開発者向け資料を見ると、LINEユーザーや外部のLINE WORKSユーザーがいるトークルームでは、Botを利用できないと書かれています。
海外の相手だから使えない、ということではありません。同じLINE WORKS環境のメンバーなのか、外部ユーザーとしてつながっているのかで条件が変わります。
もし普段のトークルームにBotを入れられないなら、社内用の別の部屋へ文章を転送する方法も考えられます。ただ、それでは今と同じように、翻訳のために場所を移る作業が残ります。
Botを作ってから、使いたかったトークルームに入らないと分かる。それは一番避けたいことでした。
Botを入れられる場合でも、LINE WORKSの設定だけで動くわけではありません。トークに届いた内容を外部のシステムへ送り、翻訳した内容をLINE WORKSへ返す仕組みが必要です。

独自のAI翻訳Botを加える意味は、要約と医療用語への最適化
標準翻訳は、届いた文章を別の言語で読むには便利です。ただ、今回必要だったのは翻訳だけではありませんでした。
提案したのは、次の四つを分けて返すBotです。
- 長いやり取りの要点
- 医療分野の専門用語に合わせた日本語訳
- 見落としたくない数字や条件
- そのまま手直しして使える英語の返信案
医療分野では、一般的な翻訳で意味は通っても、現場で普段使っている訳語と合わないことがあります。そこで提案には、あらかじめ確認した専門用語と訳語を参照し、利用者が普段使う表現にそろえる仕組みを含めました。
また、やり取りが長くなったときは、全文を訳すだけでなく、何が決まり、何を確認し、次に何を返すのかを短く表示します。訳文、要約、数字や条件、返信案を分けることで、原文のどこを確かめればよいかも見つけやすくなります。
標準機能を置き換えるものではなく、その機能ではできないところを補う提案です。
LINE WORKSから離れずに使える形を提案した
翻訳の精度と同じくらい大切だったのが、担当者が普段の仕事から離れずに使えることです。
担当者も海外のパートナーも、普段からLINE WORKSを見ています。その場所で翻訳や返信の準備までできるなら、新しい画面を開くよりも使いやすいはずです。
反対に、Botを使うために別のトークルームへ文章を移したり、新しい管理画面を開いたりするなら、便利な機能を増やしたつもりでも、別の手間が増えます。
Botを入れられる条件がそろう場合は、普段のトークルーム内で翻訳と返信準備まで終えられる形を提案しました。
新しい仕組みを作る以上、機能が動くだけでは足りません。毎日の行き来が減らなければ、作る意味が薄くなります。
LINE WORKSの標準翻訳で足りるなら、そのまま使う。要約や医療用語への対応、数字や条件の確認、返信文の準備まで必要なら、独自のAI翻訳Botを検討する。ただし、いつものトークルームへBotを入れられるかは先に確かめましょう。どのAIを使うかを決めるのは、それからです。
LINE WORKSやAI導入について相談したい方へ
オンライン実務パートナーでは、普段の仕事を伺ったうえで、今ある機能を使うか、AIを加えるか、新しく仕組みを作るかをご提案します。