スモールビジネス × AI

事例2026年6月22日

LINE WORKSの翻訳Bot相談で考えた、AI活用の現実的な進め方

LINE WORKSのトークルームでAI翻訳Botが海外パートナーとのやり取りを支えるイメージ

先日、ある企業様から、LINE WORKSで使う翻訳Botについてご相談をいただきました。

海外のビジネスパートナーとのやり取りを、普段からLINE WORKS上で行っているそうです。

ただ、送られてくる英文には専門性の高い用語が含まれます。

LINE WORKS標準の翻訳機能だけでは、細かなニュアンスや専門用語の扱いに不安が残る。

そのため、毎回ChatGPTなどに文章を貼り付けて、日本語に訳したり、返信文を英語に直したりしていたそうです。

もちろん、それでも対応はできます。

でも、毎回コピーして、翻訳して、内容を確認して、またLINE WORKSに戻すのは手間がかかります。

やり取りが増えるほど、翻訳そのものよりも「翻訳するための作業」に時間を取られてしまいます。

そこで、LINE WORKSのトークルーム内にAI翻訳Botを入れられないか、という話になりました。

最初に確認したのは、Botをどこに入れられるか

こういう相談では、いきなり機能の話に入る前に、まず運用の前提を確認します。

今回も、最初は海外パートナーが外部ユーザーなのか、社内メンバーとして登録されているのかが重要でした。

もし外部ユーザーとのやり取りで、Botを同じトークルームに参加させられない場合は、別の方法を考える必要があります。

たとえば、専用の翻訳用トークルームを作る。

翻訳したい文章をBotに転送する。

Botから返ってきた訳文を、人が元のトークルームに貼り付ける。

こういう形なら作れるかもしれませんが、毎回ひと手間増えます。

一方で、海外パートナーがLINE WORKS内のメンバーとして登録されていて、実際のトークルームにBotを入れられるなら、話はかなり変わります。

普段使っている場所にBotを参加させて、同じ流れの中で翻訳できます。

今回も確認を進める中で、実際のトークルームにAI翻訳Botを参加させる方向で検討できそうだと分かりました。

ここが分かるだけで、提案内容はかなり具体的になります。

翻訳だけでなく、要点と注意点も出す

今回考えたBotの役割は、単に英文を日本語に直すことだけではありません。

海外パートナーが英語で投稿する。

AI翻訳Botが日本語訳を返す。

必要に応じて、要点や注意点も短く添える。

担当者が日本語で返信文を書く。

Botが英語に直し、専門用語や数字、日付などに違和感がないか確認する。

このような流れを想定しました。

専門用語の多い業務では、直訳だけでは不十分なことがあります。

言葉としては訳せていても、数量、品名、日付、条件、依頼事項の読み違いがあると困ります。

だから、Botには「訳す」だけではなく、「注意して読むべきところを見つける」役割も持たせたほうがいいと考えました。

たとえば、

  • 数字や数量が含まれている
  • 固有名詞や専門用語が出てくる
  • 期限や日付が書かれている
  • 確認依頼なのか、作業依頼なのかが分かれ目になる
  • 返信前に人が見たほうがいい表現がある

こういう部分をBotが拾ってくれるだけでも、担当者の負担はかなり軽くなります。

Botが送る文章は、誰の発言か分かるようにする

もう一つ大事だったのが、Botの送信者表示です。

LINE WORKSのBotが投稿する場合、基本的には送信者はBotとして表示されます。

人間の担当者本人になりすまして送る前提では考えません。

そのため、Botが英語の返信文を投稿するときは、冒頭に誰の発言を翻訳したものか分かる一文を入れる形を提案しました。

たとえば、

[From: Tanaka / translated by AI]

We have reviewed the details.
Please reconfirm the item names and quantities.

このようにしておけば、相手から見ても「誰の返信をAI Botが翻訳して送っているのか」が分かります。

便利さだけを優先して、誰が何を言ったのか分からなくなると、業務では使いにくくなります。

AIを入れるときほど、人の責任範囲が見えるようにしておくことが大事です。

ファイルや要約まで見ると、Botの役割は広がる

最初の目的は、トーク内の翻訳でした。

ただ、実際の業務では、文章だけで終わらないことも多いです。

PDFやWord、Excel、画像などの添付ファイルが送られてくる。

長いやり取りのあとに、何を確認すればいいか分からなくなる。

未対応の事項が残っていないか見たい。

週末に、その週のやり取りをざっと振り返りたい。

こういう場面もあります。

そのため、将来的にはファイルの内容を読み取って要約する、必要なものをGoogle Driveなどに保存する、日次や週次で会話をまとめる、といった使い方も考えられます。

もちろん、最初から全部を大きく作る必要はありません。

まずは、普段のトークルーム内で翻訳と返信作成が回ること。

そのうえで、ログ保存、添付ファイル、要約、リマインドのような機能を足していく。

こういう順番のほうが、現場で使えるものになりやすいです。

技術より先に、今の流れを壊さないことを考える

AI Botを作るというと、どうしても技術の話に見えます。

LINE WORKS Bot、Webhook、APIサーバー、OpenAI API、Google Drive連携。

実際には、こういう部品を組み合わせて作ることになります。

ただ、今回の相談で大事だったのは、技術そのものよりも「今の業務の流れをどれだけ変えずに済むか」でした。

すでにLINE WORKSでやり取りしている。

担当者もパートナーも、その場所を見る習慣がある。

そこにAI翻訳Botを入れられるなら、新しい管理画面を毎回開くよりも使われる可能性が高くなります。

便利な仕組みを作っても、現場の人が毎回別の場所に移動しないと使えないなら、だんだん使われなくなります。

逆に、今いる場所に必要な補助が出てくるなら、自然に使えます。

この「今の流れに入れる」という考え方は、AI活用ではかなり大事だと思います。

小さな困りごとから、開発案件につながることもある

今回の相談は、最初から大きなシステム開発というより、「毎回の翻訳が手間になっている」という具体的な困りごとから始まりました。

でも、よく聞いていくと、そこにはいくつもの仕事が隠れています。

英文を読む。

専門用語を確認する。

返信文を考える。

英語に直す。

相手に伝わる形で投稿する。

過去のやり取りを探す。

添付ファイルを確認する。

対応漏れがないか見る。

こういう作業が、毎日の中で少しずつ積み上がっていました。

AI Botは、その全部を一気に人の代わりにするものではありません。

ただ、毎回発生する翻訳や確認の負担を減らし、人が判断すべきところに時間を戻すことはできます。

僕が提供している「オンライン実務パートナー」では、文章作成やWebまわりの実務だけでなく、こういう小さな業務改善やAIを使った仕組みづくりの相談も受けています。

「LINE WORKSでこういうことができないか」

「毎回ChatGPTに貼り付けている作業を、もう少し楽にできないか」

「社内や外部パートナーとのやり取りを、今のツールの中で軽くできないか」

こういう段階でも大丈夫です。

最初から立派な要件定義書がなくても、普段どこで困っているかを聞けば、現実的な作り方を一緒に考えられます。

まとめ

今回のLINE WORKS向けAI翻訳Botの相談では、専門性の高い英語のやり取りを、今のトークルームの中でどこまで軽くできるかを考えました。

大事なのは、AIで派手なことをすることではありません。

毎回コピーして翻訳していた手間を減らす。

専門用語や数字を見落としにくくする。

誰の発言をBotが翻訳しているのか分かるようにする。

今使っているLINE WORKSの流れを大きく変えずに、必要な補助を足す。

こういう小さな設計の積み重ねが、実際に使えるAI活用につながります。

オンライン実務パートナーでは、日々の実務代行だけでなく、業務の中にある小さな不便をAIやWebの仕組みで軽くするご相談も承っています。

「これ、毎回面倒なんだけど、仕組みにできるのかな」と思うことがあれば、ぜひ一度ご相談ください。

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